執筆者紹介:廣木 冴香(ひろき さやか)
子どもたちからの愛称は”さやか先生”。専門はピアノ。
アノネ音楽教室では、ピアノの実技レッスン講師を務めています。さらに、花まる学習会でも、教室長として年中〜小学6年生までの集団授業を担当しています。
子どもたちにかける思いにあふれ、レッスンや授業については「一番好きな時間!」「ちゃんと生きている気がするんです!」と目を輝かせます。言葉のとおり、指導力に長け、愛情を持って子どもたちに接しています。そんなさやか先生は、教育の世界でなおのことステップアップするため、さらなる勉強も欠かさない努力家でもあります!
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『成長のチャンス』
暑い夏が始まり、今年もアノネ音楽教室の音楽合宿が行われる季節がやってきました。今年度は『音楽合宿 in東京』『音楽合宿 in信州国際音楽村』、そして新たに『年中・年長さんのわくわくミュージックランド』が開催されます。こういった音楽合宿を通して、音楽を心から楽しむなかで成長する子どもたちの姿を、毎年たくさん目にします。
今回は、昨年度の音楽合宿で私がレッスンを担当したAちゃんの成長の様子をご紹介いたします。
Aちゃんが練習してきたのは3つの課題曲。子どものための魅力的なピアノ作品を数多く作曲したギロックによる『インディアンの踊り』、ヘンデル作曲で表彰の際によく演奏される『ユダス・マカベウス』より《見よ、勇者は帰る》、ペツォールト作曲の有名な『メヌエット ト長調』です。昨年や今年の音楽合宿では、こういったメドレーを、同じく音楽合宿に参加するペアの子と一緒に連弾(ピアノ1台を2人で演奏)します。
彼女は合宿の日まで頑張って譜読みをしていたものの、普段のレッスンでの発表や課題曲との兼ね合いで、まだ両手で演奏するまでにはなっていませんでした。
初めてのレッスンでは、すでに両手で弾けていた『インディアンの踊り』を、連弾のペアのBちゃんと合わせる練習をしました。2人で合わせるためには、呼吸を揃え相手の音を良く聴きながら演奏する必要があります。初めは自分の演奏に集中していた、初対面の2人。しかし、一緒にリズムたたきをしてタイミングを揃えたり、あえて相手のパートを歌ったりしながら練習をしていくうちに、徐々に「2人で1つの曲を演奏する」という意識が生まれてきました。
そんななか、「Bちゃんの音って楽しそうだよね」と、Aちゃんが話しかけました。確かにBちゃんはピアノが大好きで、身体全体を使って音楽を表現するような子でした。「そんなことないよ~」と少し照れていた彼女でしたが、そこからより打ち解け、お互いにアドバイスをする姿もみられるようになりました。
『インディアンの踊り』が上手になってきたAちゃんですが、彼女の頑張りどころはここから。まだ両手で合わせていなかった『ユダス・マカベウス』より《見よ、勇者は帰る》、メヌエット ト長調』の練習を進めていきます。
音楽合宿ではレッスンの合間に自主練習の時間があり、レッスンで取り組んだ部分を自分で復習します。自主練習を終えてレッスンにやってきたAちゃんは「私はすぐ諦めちゃうところもあるけど、今回は頑張る!」と宣言しました。話を聞いてみると、自主練習の時間にBちゃんとお互いに練習の成果を報告しあっていたようで、彼女の頑張りに刺激を受けたそうです。その言葉の通り、彼女は苦手だった箇所を何度も繰り返し練習していきました。そしてBちゃんも、Aちゃんに言われた「Yちゃんの音って楽しそうだよね」という言葉が自信になったのか、より音の表現にこだわるようになりました。
楽器の練習では1人で練習する時間が圧倒的に多く、時に孤独を感じることもあります。しかし、こうして同じように頑張っている仲間と出会うことで、お互いに刺激を受け合い、成長していくこともあります。普段は1人でお稽古に取り組んでいる彼女たちも、今回は仲間と切磋琢磨できる。特に、4日ほど続く合宿ではレッスンや自主練習を短い期間何度も繰り返すことで、普段では考えられないほど自分の演奏と向き合う時間が長くなります。
初めて合宿に参加していたAちゃんに「大丈夫?疲れてない?」と声をかけると、「私、なぜかレッスンになると元気になるんだよね!」と笑顔を見せていました。最終日のレッスンでは私が声をかける隙もないほど「ここを練習しよう!」とお互いに気になるところを伝え合って練習していた彼女たち。本番では緊張感がありつつも、息を合わせて表現豊かに楽しんで演奏する姿がありました。
合宿を通して大きな1ステップを踏んだAちゃんとBちゃん。今年も8月の音楽合宿に参加する彼女たちは、みんなで研鑽を積むことを楽しみに準備しています。
私たちは、音楽がお子さまの人生を彩り、その子の魅力を紡ぐピースの1つになることを願ってサポートし続けてまいります。
アノネ音楽教室 廣木冴香(ひろきさやか) - "さやか先生"
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